おがたかお の 塊

生きる最速の文章たち

皮膚

もらった腕時計の張り付いた部分が剥けた

微かに汗ばんでいて

癒着、はがすと肌が白く赤く変わっていた

 

煙草の害で硬くなった恋人の左手に

亀裂が入っていた記憶が連結

もう、やめちゃえばいいのに

合わないなら

そうは思うけれど、好きなんだもの

身体とは違う気持ちで

一緒にいたいのだから

いいじゃない、死ぬわけじゃ、ないし

殺されてもいいって思ったのだろうね

あらそうじゃない?

ただの依存で中毒症状?

複雑、もう、わからない覚悟もないのに

 

つるんとした頬に

そばかすからシミになっていく様

ホウレイセンを少し気にするし

毛を剃っておかしくなってしまった

顎もかゆくて

いつとろろ食べたっけ?不思議

蕁麻疹が突然現われる時は

生理的嫌悪なのだろうか

悲しみ

この世に溢れる

だけどそればかりでもなく

気をつけて記さなくてはなんて

冷静にもなっていた

私に優しさなんてないよ

心を動かせない

恋人の煙草だって

どうでもいいのかもしれない

悲しみ

私に溢れる

大切にしたかった気持ちも

白と赤の離れた方の皮膚も

剃られた毛もみんな

バラバラと底に落ちてゴミになった

燃やされるだろうね

ところどころは、風にさらわれて

知らないうちに土に還っている

 

ぴったりの保湿クリーム見つけて

試しに買ったしっとりしたやつを恋人にあげた

私はさらさらでいいから爽やかに引きしめたい

針仕事で傷ついた人差し指を

言葉が出てくるまで見つめていた

私を加害した時計などは

元気にチクタク時間を刻み

擬人化すんなよ、自らを笑う

こいつめ、私の皮膚を返せよ

どうせまた、新しいのができるでしょうけど

あなたしかなかったと

知らぬ間に細胞が入れ替わるものだとしても

思い込んでいたかった

大切に扱っていたわけでもない

自然と当たり前に健康であった私達を

離れさせたのはそれもまた自然なのか

何も批判できなくなっていく自我を

摂理がきっちり淘汰していくだろうと

何もかも、あきらめ始めていた