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おがたかお の 塊

物語をはじめよう

勇気の花

アンパンの男は成すすべもなく、凛と咲いた花を見つめていた。

 

最初はただの土の膨らみだった。

 

少しずつ緑の身体が持ち上がり、双葉が開くのをジリジリと待つと、それは限りなどないようにグングンと伸びていった。

 

アンパンの男は、バイキンにむしばまれた動かない身体に慣れてしまい、もう何もかも諦めていたところだった。

 

今、美しい成長を見せつけられ、魂が震え再び燃え上がる気持ちに驚いていた。

 

花が咲いた日。

 

アンパンの男は涙を流した。

 

どれだけの歳月、同じ谷底で意識を持ってしまっていたかわからない。

 

いっそ殺してくれ。

 

腐り切らない、真の部分で思っていた。

 

まだ生きたいのに。

 

もう死にたいんだ。

 

永遠かのような時間。

 

いつか終わりが来るのか。

 

助けは。

 

誰か。

 

救済を求めていた。

 

どのような心持ちでこの現状を受け入れたらいいのか?わからなかった。

 

 

 

花が、教えてくれたような気がする。

 

 

俺はただ、地面に腐り横たわり、何をするでもないけれど、この花を美しいと想うような心がまだ残っていたんだ。

 

心の中でたけり狂い、散々世界を呪い、悪態をついたこともあった。

 

助けなど、来ないとしても。

 

完全に朽ち果てるまでは。

 

 

花のように凛と咲いていたい。

 

誰に知られるでもなく、自分が自分のために。

 

 

やがて花は枯れ、種を落とす。

そうしたらまた次の季節を楽しみにしよう。

 

 

未来は明るい、間違いはない。

 

 

死が訪れる時、俺は必ず救われるだろう。

 

 

 

 

それまでは。

 

精一杯生きて気づいていこう。

 

 

健全な心が誓うのだった。