おがたかお の 塊

生きる最速の文章たち

ダクト

ゆったりと期待が通る日

愛のない行為などあるかと問う

ずいぶん遠くまで、ダクトは続いていて

どこに排気されるのか、見当がつかなくて

もし海に出たら、そのまま蒸発した海水と混じり合って

空に昇って雨になりたい

君に降り注ぐつもり

まだ見ぬ君に

もし山に出たら、虫の体内に入り込んで

体液と一緒に自由に飛んでいきたい

君にまとわりついて

迷惑がられるつもり

 

実際は、海にも山にも出なくて

都会の喧騒の中、ゴミの上に落とされて

臭気と一緒に澱んでいるだけだったんだ

 

突如、逆流する

 

分煙室より。

 

「妊娠中にタバコを吸うと赤ちゃんがのたうち回るって本当かな?」

「へその緒を、煙が通るんだろうか?」

「どういう仕組みなのかな」

「子どもたちが健康で笑顔であってほしい」

「それは、きっと無理な話なんだ」

「泣いて、鳴いて、眠る、静かに見つめる」

「手を握る」

「通じ合う?」

「いいや、一方通行」

 

流れる。ダクトは排気する。

下世話な会話も、煙も、想いも栄養も排気する

外に通じていた。逆流する。

 

分煙室より。

 

「禁煙なんてもってのほかだ、辛い」

「手持無沙汰になるんだよな」

「持たない間がさらに悪くなる」

「かっこいいと思わないか」

「わからないんだ」

「黒い煙を吸うな」

「白い煙を」

「赤」

 

血の色を知っているか?

運ばれた血液の行く末

心臓でろ過されるっていう話を少し覚えていて

 

空気はいつだって清浄なんだって

人体には毒なんだって

 

ダクト!

 

今日も流れゆく委ねゆく