おがたかお の 塊

物語をはじめよう

花のように

海の底に咲いた。

僕はダイバーだ。いつまでたっても一人前にはなれない未熟なダイバーだ。泳ぎきれない、溺れるみたいに進むことしかできない。
誰も救えない、そもそも何も発見できていないし。漂うだけなら子どもだってできる。僕の存在意義やいかに、問う。

歌が聴こえる、セイレーンが呼んでいるんだ。惑わされるな、喰われるぜ。
みんなが警戒する中、僕は彼女に完全に魅了されていたんだ。

馬鹿みたいにバタ足して。近づきたくて。
先生も呆れていた。
でも僕が届くはずないから。

セイレーン、美しい。

海の底、花が咲いていて。
摘み取って全部君にあげる。

暴挙だ。

根から引き抜こうとしたのが悪かったんだ。

チカラ、有り余って僕は深みにハマる。


ずるずる。どろどろ。
海の底にも泥沼はあるさ。

いっそこのまま、溶けてしまいたい。

仲間の笑う声がする。

マヌケ、どのみち、早死にだ。

誰も助けてはくれなかったし、僕も手を伸ばさなかった。

何も起こらなかった。

セイレーンにも会わなかったし、花も摘めずだ。

僕の人生とはなんだったのか。必死にもがいて、まだ終わらないでって願う。

これを読む君に託したい。
無駄にしないでくれ。頼む。

頼む。

僕は、ただ、存在を。